Welcome to POCLAB since 2018

私たちは、化学と情報科学の交差点で研究を行うグループです。データ駆動型のアプローチを通じて、新しい分子と材料の発見と設計を加速することを目指し、化学構造の情報を整理し世界中の人々がアクセスして使えるようにしていきます。POCLabの「POC」は次を意味します:

  • Passion for Originality and Creativity(独創性と創造性への情熱)
  • Proof of Concept (概念実証)
  • Physical Organic Chemistry(物理有機化学)

POCLAB研究室紹介


🧭 ミッション


革新的な分子と反応の設計方法を推進する

私たちは、化学の中心課題である「分子の設計」と「反応の最適化」に挑みます。私たちがこの変革を推進する理由は、以下の6つの重要な観点にあります:

🌱 持続可能性と責任ある科学 現代社会が直面する環境問題やリソースの制約を考えると、科学研究においても持続可能性を重視することが不可欠です。限られた資源を最大限に活用し、環境負荷を減らしながら社会に貢献するため、持続可能で責任ある科学の在り方を追求します。 従来の試行錯誤型研究では、多くの実験材料や時間、エネルギーが無駄になることがありました。データ駆動型アプローチにより、実験の精度を向上させ、必要最小限のリソースで最大の成果を得ることで、真に持続可能な研究を実現します。また、開発する技術や材料も、ライフサイクル全体を通じて環境への配慮を組み込み、次世代に負担を残さない科学技術の発展を目指します。
🤝 分野横断的な連携の基盤づくり 化学は「セントラルサイエンス」として、創薬・材料・食品・エネルギー・環境・情報など多分野をつなぐ存在です。その特性を活かし、学際的・国際的な連携を促進するハブとなります。 現代の複雑な課題は、単一の学問分野だけでは解決できません。例えば、新型コロナウイルスのワクチン開発では、化学、生物学、医学、情報科学が連携して短期間での成功を実現しました。私たちは、化学を中心とした分野横断的な研究プラットフォームを構築し、異なる専門分野の研究者が協働できる環境を整備します。 また、標準化されたデータフォーマットやツールを提供することで、分野間の壁を取り払い、知識の共有と活用を促進します。これにより、化学が真の意味での「セントラルサイエンス」として機能し、科学技術全体の発展を加速させることができます。
🧠 知識の体系化と予測科学への進化 膨大な実験データや計算結果を整理・統合し、化学を経験則中心の学問から体系的な予測科学へと進化させます。 これまでの化学は、多くの実験的事実と経験則に基づいて発展してきました。しかし、現代では人工知能や機械学習の技術により、これらの断片的な知識を統合し、包括的な理論体系を構築することが可能になっています。 私たちは、分子の性質、反応の機構、材料の特性に関する膨大なデータを収集・整理し、それらの間の潜在的な関係性を明らかにします。この知識基盤により、新しい分子や反応の性質を高精度で予測し、実験前に最適な候補を特定することができるようになります。これは化学を「発見の科学」から「設計の科学」へと変革する重要なステップです。
⚡ スピードとスケールの変革 データ駆動型アプローチと機械学習により、従来では不可能だった速度と規模で膨大な化学空間を探索し、新しい分子や反応を提案します。 化学空間には約10^60個の小分子が存在すると推定されていますが、これまでに合成・特性評価された化合物は約1億個程度に過ぎません。つまり、未踏の化学空間は無限に広がっているのです。 従来の手法では、一つの研究室が一年間で探索できる化合物数は数百から数千個程度でした。しかし、計算化学と機械学習を活用することで、理論的には数百万から数億の候補分子を短期間でスクリーニングすることが可能になります。 この規模とスピードの変革により、これまで発見されることのなかった革新的な分子や反応が見つかる可能性が飛躍的に高まります。また、複数の性質を同時に最適化した多機能材料の開発も現実的になります。
🔄 試行錯誤からの転換 従来の試行錯誤型研究の限界を超え、データと理論を活用した効率的で戦略的な研究スタイルへとシフトします。 従来の化学研究では、研究者の直感と経験に基づいた試行錯誤が中心でした。このアプローチは多くの重要な発見をもたらしましたが、時間とコストがかかり、成功率も低いという問題がありました。 データ駆動型アプローチでは、過去の実験結果、計算データ、文献情報などを総合的に分析し、成功確率の高い実験計画を策定します。これにより、限られたリソースを最も効果的に活用し、短期間で目標を達成することができます。 また、実験結果を即座にデータベースに蓄積し、機械学習モデルを継続的に改善することで、研究の精度は時間とともに向上していきます。この継続的な学習プロセスにより、研究効率は指数関数的に改善されることが期待されます。
🎯 偶然から必然へ 偶発的な発見に依存するのではなく、科学的根拠に基づいて再現性のある成果を積み重ねる研究へ進化します。 化学史上の多くの重要な発見は偶然によるものでした。しかし、偶然に頼る研究スタイルでは、再現性や予測可能性に限界があります。現代社会が直面する複雑な課題を解決するためには、より確実で系統的なアプローチが必要です。 データ駆動型研究では、分子の構造と性質の関係、反応条件と生成物の関係などを定量的に解析し、科学的法則として定式化します。これにより、特定の性質を持つ分子を設計したり、望ましい反応条件を予測したりすることが可能になります。 また、機械学習モデルの予測根拠を解析することで、なぜその分子が特定の性質を示すのか、なぜその反応が進行するのかといった機構の理解も深まります。これは偶然の発見を必然の設計へと昇華させる重要なプロセスです。

🔍 ビジョン


セントラルサイエンスである化学を基盤に、データ駆動型アプローチで持続可能な未来を創る

私たちは化学に情報科学を融合し、世界に新しい価値を生み出す研究拠点となることを目指しています。私たちの研究が次の重要分野に革新的な波及効果をもたらし、社会全体の発展に寄与することを目指しています:

🧪 化学コミュニティ データ駆動型化学の推進により、国際的な研究連携が促進され、新しい方法論や知識基盤の共有が進むと期待されます。 私たちの研究が進展することで、化学研究における新しいパラダイムの形成に貢献できると考えています。データ共有と協働研究のためのツールや手法を開発・提案することで、世界中の研究者がより効率的に連携できる環境づくりに寄与します。 具体的には、標準化されたデータフォーマットの提案、オープンソースの解析ツールの開発、再現可能な研究プロトコルの確立などを通じて、グローバルな研究コミュニティの発展に貢献していきます。また、若手研究者向けの教育プログラムや研究手法の普及により、次世代の化学研究における人材育成に寄与することを目指します。 これらの取り組みにより、化学研究全体の効率向上と質の向上が期待され、人類が直面する課題の解決により迅速に取り組める環境が整うと考えています。
💊 創薬 医薬品候補分子の探索手法の改善により、創薬プロセスの効率化に貢献し、医療分野での新たな可能性が開かれると期待されます。 私たちの研究が進むことで、分子設計や相互作用予測の精度向上により、実験的な候補化合物の絞り込みがより効果的になると考えています。これは、創薬にかかる時間とコストの削減に寄与する可能性があります。 特に、計算科学と機械学習を組み合わせたアプローチにより、これまでアクセスが困難だった分野(希少疾患や抗生物質耐性菌など)での新薬開発にも新たな道筋を提供できる可能性があります。また、副作用予測の改善により、より安全な医薬品の開発に貢献することが期待されます。
🥗 食品 食品成分の分子レベルでの理解が深まることで、より機能性が高く持続可能な食品開発が促進される可能性があります。 私たちの研究により、食品成分の構造と機能の関係がより明確になることで、効率的な機能性食品の設計指針を提供できると考えています。これは、栄養価と嗜好性を両立した新しい食品の開発や、環境負荷の少ない食材の探索に寄与する可能性があります。 また、アレルギー反応のメカニズム解明や、個人差を考慮した栄養学の発展にも貢献できる可能性があります。保存技術の改善により、フードロス削減にも間接的に寄与することが期待されます。
🔧 材料科学 分子レベルでの材料設計手法の向上により、新機能材料の開発が加速され、様々な分野での技術革新に寄与する可能性があります。 私たちの研究が進展することで、計算科学による物性予測と機械学習による最適化により、従来の試行錯誤的な開発では発見困難だった材料の設計指針を提供できると期待されます。 エレクトロニクス、触媒、高分子などの分野において、性能と環境配慮を両立した材料の設計に貢献できる可能性があります。特に、反応機構の理解に基づいた触媒設計や、循環型社会に適した材料の開発において、新たなアプローチを提案できると考えています。
⚡ エネルギー エネルギー材料の分子設計技術の向上により、持続可能なエネルギー社会の実現に向けた技術開発が促進される可能性があります。 私たちの研究により、太陽電池材料、蓄電池材料、水素関連材料などの性能予測精度が向上し、より効率的な材料探索が可能になると期待されます。これは、再生可能エネルギーの利用拡大や効率的なエネルギー貯蔵技術の発展に寄与する可能性があります。 特に、希少金属に依存しない持続可能な材料の設計や、安全性と性能を両立したエネルギー材料の開発において、新たな視点を提供できると考えています。
🌱 環境 環境浄化や資源循環に関わる化学プロセスの改善により、持続可能な社会の実現に向けた技術基盤の構築に貢献できる可能性があります。 私たちの研究が進むことで、CO2変換技術、汚染物質除去技術、化学リサイクル技術などの効率向上に寄与する新たな知見を提供できると期待されます。また、グリーンケミストリーの原理に基づいた新しい合成手法の開発により、化学工業の環境負荷削減にも貢献できる可能性があります。 特に、分子レベルでのメカニズム理解に基づいた技術改良により、従来よりも効率的で環境に優しいプロセスの設計指針を提案できると考えています。

⚖️ バリュー


概念実証を重視し、実験・計算・機械学習を融合した革新的研究を推進し、化学構造に基づく設計思考とオープンサイエンスで、持続可能な未来を創造します。

私たちの研究姿勢は、以下のとおりです:

🔥 独創性と創造性への情熱 (Passion for Originality and Creativity) 固定概念にとらわれず、独自の発想と創造性で化学の新しい地平を切り拓く。 私たちは、従来の化学研究の枠組みを超えて、革新的なアプローチを追求します。既存の理論や手法に満足することなく、常に「なぜ」と「どうすれば」を問い続け、新しい視点から問題を捉え直します。この創造的思考は、予想外の発見や画期的な解決策を生み出す原動力となります。研究チーム全体で創造性を育み、アイデアの多様性を尊重し、失敗を学習の機会として捉える文化を醸成しています。
🔬 概念実証 (Proof of Concept) 新しいアイデアや手法の実用性を迅速に検証し、失敗を恐れずに挑戦を続けることで、革新的な成果を引き出す。実験を含むPoC(Proof of Concept:概念実証)を通じて、実用性の確認を迅速に行い、次のステップへ進む判断を下す。 我々のアプローチでは、理論的な仮説を素早く検証可能な形に変換し、小規模な実験やモデリングを通じて早期に実現可能性を評価します。これにより、時間とリソースを効率的に活用し、有望なアイデアに集中投資することが可能になります。PoC段階では完璧性よりもスピードを重視し、迅速なフィードバックループを構築することで、研究の方向性を柔軟に調整できる体制を整えています。この手法により、革新的なブレークスルーの実現確率を大幅に向上させています。
⚛️ 化学構造から考える物理有機化学に基づく設計 (Physical Organic Chemistry) 化学構造の理解を基盤に、分子レベルでの特性や反応性を探求し、それをもとに設計思考を展開する。化学構造が示す根本的な性質に基づいて、革新的な分子や材料を設計し、新しい可能性を追求する。 分子の三次元構造、電子分布、軌道相互作用など、化学の基本原理を深く理解することで、分子の性質と機能の関係性を明確に把握します。この基礎的な理解を土台に、目的とする機能を実現するための分子設計戦略を構築し、電子効果、立体効果、相互作用パターンを精密に制御することで、従来にない性能を持つ化合物の創出を目指します。物理有機化学の原理に基づく論理的な設計により、偶然に頼らない確実性の高い分子開発を実現しています。
🔄 実験、計算、機械学習 実験データ、計算モデル、そして最先端の機械学習アルゴリズムを統合し、予測と実証を高速に繰り返すことで、効率的かつ効果的な化学研究を推進する。この融合によって、化学の新たな発見を加速させる。 実験で得られるリアルなデータ、量子化学計算による理論的予測、そして機械学習による大規模データ解析を有機的に組み合わせることで、従来の単一手法では到達できない深い洞察を獲得します。実験結果は計算モデルの精度向上に活用され、計算データは機械学習モデルの訓練に使用され、機械学習の予測は新たな実験設計の指針となる、という相乗効果を創出しています。このサイクリックなアプローチにより、研究効率を飛躍的に向上させ、従来の10倍以上の速度での新発見を実現しています。
🌐 グローバル&オープン 国際的な視点を持ち、オープンな知識共有と連携を通じて、普遍的かつ持続可能なソリューションを追求。知識や成果をオープンに共有し、他分野の研究者や産業界とのコラボレーションを積極的に推進する。オープンイノベーションを通じて、全体の科学技術の進展を加速させる。 研究成果やデータセット、計算コードを積極的に公開し、世界中の研究者がアクセスできる環境を構築しています。国際的な共同研究プロジェクトへの参画や、異なる文化的背景を持つ研究者との連携を通じて、多様な視点とアプローチを研究に取り入れています。オープンサイエンスの理念に基づき、論文の事前公開、データの標準化、再現可能な研究手法の確立に取り組み、科学技術の民主化と加速化に貢献しています。このグローバルなネットワークにより、地域に限定されない普遍的な解決策の開発を可能にしています。
🌟 楽観主義 現実の複雑さを理解しつつ、常に問題解決に向けた前向きなアプローチを持つ。ミクロな視点でリスクを適切に評価し、マクロな視点で持続可能な未来を描く。この両方の視点をバランスよく持つことで、持続的な成長と成功を実現する。 困難な課題に直面しても、それを乗り越える方法が必ず存在するという信念を持って研究に取り組んでいます。短期的な困難や失敗に惑わされることなく、長期的な目標と社会への貢献を見据えた研究戦略を策定します。同時に、科学的な厳密性を保ちながら、リスクを適切に評価し、現実的なアプローチを採用することで、理想と実践のバランスを保っています。この楽観的でありながら現実的なスタンスが、チーム全体のモチベーション向上と創造性の発揮につながり、持続可能な研究環境の構築を可能にしています。

メンバー募集


分子や反応の世界で新しい発見を目指す仲間を歓迎します。

🎓 研究室配属を希望する学生へ

  • 化学・生命系学科(化学EP)の学生
  • 有機化学・材料化学・創薬化学に興味のある方
  • 実験研究に積極的に取り組める方
  • 論理的思考力と創造性を備えた方

🔬 大学院進学を検討中の方へ

  • 修士課程・博士課程の学生募集中
  • 他大学からの進学も歓迎
  • 研究テーマの事前相談可能
  • 学会発表・論文投稿のサポート充実

最新情報


研究室の最新の研究成果や活動については、以下のリンクからご確認ください:

  • 📁 Research - 研究プロジェクト・共同研究
  • 👥 Members - 研究室メンバー紹介
  • 📊 Publications - 研究論文・学会発表
  • 👨‍🏫 Teaching - 教育活動・講義情報
  • 🤝 Collaboration - 共同研究・学術指導

お問い合わせ


研究内容や研究室見学について、お気軽にお問い合わせください。

研究室所在地: 横浜国立大学 理工学部
研究室の代表者情報: 横浜国立大学研究者総覧

📍 アクセス情報

  • キャンパス: 横浜国立大学 常盤台キャンパス
  • 最寄り駅: 相鉄本線「和田町駅」徒歩15分、横浜市営地下鉄「三ツ沢上町駅」徒歩16分
  • 住所: 〒240-8501 神奈川県横浜市保土ケ谷区常盤台79-5

リンク



このページは研究室の活動状況に応じて随時更新されます。最新情報については各セクションのリンクをご確認ください。